建設業許可で行政書士に相談する前に|何をしてもらえるか・何を準備すればよいか

建設業許可を取りたいけれど、書類がそろっていない。
行政書士に相談してよい段階なのか分からない。
依頼したら、どこまで対応してもらえて、自分は何を準備すればよいのか。
建設業許可を考え始めると、こうした不安が出てくることがあります。
元請から許可について聞かれた。
許可が必要になるかもしれない規模の工事の話が出てきた。
今後の受注に備えて、許可を取るべきか考えている。
必要書類を調べるほど、「まず全部そろえなければ」と感じてしまい、相談する前に止まってしまう方も少なくありません。
ただ、建設業許可の準備は、最初から完璧な資料を集めることだけが入口ではありません。
まずは、今の状況、期限、手元にある資料を整理し、次に何を確認するかを見えるようにすることから始めます。
書類がそろっていない段階でも、状況整理から始められます
建設業許可では、会社や事業の状況、工事の内容、これまでの経験、営業所、資格や実務経験、財産面など、確認する項目がいくつかあります。
そのため、「必要書類を全部そろえてからでないと相談できない」と思われるかもしれません。
ただ、相談の入口で扱うのは、現在の状況、期限、困っていることの整理です。
個別要件の判断、資料確認、証明方法の設計、書類作成、申請は、正式なご依頼後に進めます。
必要な資料や確認の順番は、次のような事情によって変わります。
- 法人か個人事業主か
- どのような工事をしているか
- いつから事業をしているか
- 前職での経験を確認する必要があるか
- いつまでに許可が必要になりそうか
たとえば、次のような状態でも、整理は始められます。
- 決算書はあるが、どこを見ればよいか分からない
- 契約書や注文書が一部しか残っていない
- 前職の会社名や在籍期間は分かるが、当時の資料が残っているか分からない
- 元請から許可について言われたが、必要な時期はまだ曖昧
- 資格証はあるが、どの業種との関係を見ればよいか分からない
書類がそろっていないことは、何も進められないという意味ではありません。
今あるもの、探す必要があるもの、確認が必要なことを、まだ分けられていない状態です。
相談の入口で、まず整理する3つのこと
建設業許可について考え始めた段階で、最初から「取れる・取れない」を急いで決める必要はありません。
まずは、資料や経験を次の三つに分けてみてください。
手元にあるもの
決算書、確定申告書、契約書、注文書、請求書、通帳、資格証、工事写真、登記事項証明書など、今あるものを出してみます。
すべての年度分がそろっていなくても構いません。
「請求書だけある」
「古い通帳が残っている」
「前職の名刺や人事発令書があるかもしれない」
「会社のパソコンには資料が入っているかもしれない」
という状態でも、まずは手元にある資料として整理します。
この段階では、その資料が使えるかどうかを決めません。
何を確認するために使うのか、ほかの資料とどう見比べるのかは、個別の状況によって異なるためです。
まずは、何が残っているかを見えるようにします。
手元にないもの
探しても見当たらない資料、前職や勤務先にあるかもしれない資料、税理士や金融機関への確認が必要な資料などです。
たとえば、次のようなものがあります。
- 決算書を税理士に任せており、自分の手元にはない
- 前職時代の資料は退職後に処分してしまった
- 注文書はメールで届いていたが、以前のメールアドレスに入れない
- 古い通帳を保管していない
- 会社の移転や担当者の変更で、資料の保管場所が分からない
「ない」と分かることも、整理の一つです。
どこを探すか。
誰に確認するか。
別の場所に残っていないか。
次に確認することが見えれば、準備は少し進みます。
まだ分からないもの
「どの資料が必要なのか分からない」
「自分の工事がどの業種に当たるのか分からない」
「前職の経験をどう整理すればよいか分からない」
「通帳の入金と、どの工事が結びつくのか分からない」
「許可が必要になる時期が分からない」
こうした項目は、そのまま残して構いません。
「分からない」は、準備不足ではありません。
次に確認することが見えた状態です。
分からないことを一人で急いで解決しようとすると、かえって資料集めが止まることがあります。
何が分からないのかを言葉にしておくと、確認する相手や順番を考えやすくなります。
相談の入口で整理すること
建設業許可を考え始めた段階では、主に次のようなことを整理します。
今請けている工事と、今後請けたい工事
普段どのような工事をしているか。
元請として受けることが多いのか。下請として現場に入ることが多いのか。
今後、どのような工事を受けられるようにしたいのか。
工事の内容によって、確認することや資料の見方が変わる場合があります。
この段階では、自分だけで許可業種を決める必要はありません。
見積書、注文書、請求書などに書かれている工事名や、実際に行っている仕事を言葉にするところから始めます。
事業の形と、これまでの経過
法人か個人事業主か。
いつから事業をしているか。
法人化した時期はいつか。
前職ではどの会社に、どのくらいの期間いたか。
正確な年月日がすぐに分からなくても、分かる範囲で時系列を作るだけでも役に立ちます。
「個人事業主として始めてから法人化した」
「前職を辞めてから独立するまで少し期間が空いた」
「会社はあるが、実際に建設業の仕事を始めた時期は別」
といったことも、そのまま整理します。
手元にある資料と、確認が必要な資料
会社に関する資料、お金に関する資料、工事や経験に関する資料を、別々に見ていきます。
会社に関する資料には、登記事項証明書、定款、決算書、確定申告書などがあります。
お金に関する資料には、口座の状況が分かるもの、預金残高証明書、融資に関する書類などがあります。
工事や経験に関する資料には、契約書、注文書、請求書、通帳、工事写真、資格証、卒業証明書、前職での役職や在籍が分かる資料などが考えられます。
ここでも、資料の名前だけを見て「使える」「使えない」と決めません。
何が残っているか、何が見当たらないか、何を確認すればよいかを整理するための分類です。
元請や取引先から求められていること
許可を考え始めたきっかけも、できる範囲で書き出しておくと役に立ちます。
- 元請から許可を取るよう言われた
- 許可番号の確認を受けた
- 入札や登録の話が出た
- 取引先から今後の契約について確認された
- 許可が必要になるかもしれない規模の工事を予定している
- 更新時期について案内を受けた
誰から、何を、いつまでに求められたのか。
口頭で言われただけなのか、メールや書面があるのか。
こうしたことを残しておくと、確認する順番を考えやすくなります。
許可が必要になりそうな時期
資料の有無と同じくらい、期限の整理も大切です。
来月から新しい元請との取引が始まる。
具体的な日付は分からないが、夏頃までには必要になりそう。
入札参加資格の受付がある。
更新時期が近い。
期限が分からない場合は、「分からない」に置いて構いません。
そのうえで、元請に確認する、社内の担当者に聞く、案内文を見直すなど、次にできることを考えます。
正式なご依頼後に進めること
現在の状況、期限、手元資料を整理したうえで、正式にご依頼いただいた場合は、個別の内容に応じて確認を進めます。
たとえば、次のようなことです。
- 個別要件の確認
- 手元資料の確認
- 不足資料や確認先の整理
- 経験や工事内容をどのように確認するかの検討
- 必要書類の作成・収集の進め方の整理
- 申請書類の作成
- 申請手続
資料があるから許可を受けられる、資料がないから進められない、と一律には決まりません。
業種、会社や個人の経歴、営業所の状況、資料の内容などによって、確認すべき点は変わります。
そのため、相談の入口では現在の状況を整理し、個別の要件判断、資料確認、証明方法の設計、書類作成、申請は、正式なご依頼後に進めます。
お客様にお願いすること
行政書士に依頼すれば、すべてを何も確認せずに進められるわけではありません。
事実関係や資料について、お客様にも一緒に確認をお願いする場面があります。
たとえば、次のようなことです。
- 会社や前職の経歴を、思い出せる範囲で書き出す
- 手元にある資料を探す
- 元請や取引先から言われた内容を共有する
- 期限がある場合は、分かる範囲で教えていただく
- 必要に応じて、関係先へ確認する
「何を出せばよいか分からない」という段階で、完璧に資料をそろえる必要はありません。
まずは、あるもの・ないもの・分からないことを分け、確認の順番を整理していきます。
費用について、依頼前に確認しておきたいこと
費用は、申請する業種、会社や個人の状況、資料のそろい方、期限、依頼いただく範囲によって変わります。
金額だけではなく、次の点を確認しておくと、依頼後の認識違いを減らしやすくなります。
- どこまでを依頼範囲とするか
- お客様に準備いただくことは何か
- 報酬とは別に必要となる実費があるか
- いつ費用が発生するか
- 資料の状況や期限によって、対応範囲が変わる可能性があるか
「どこまでやってもらえるか」が分からないまま依頼すると、後から行き違いが生じることがあります。
依頼前に、事務所が行うことと、お客様にお願いすることを分けて確認しておくと、進め方をイメージしやすくなります。
行政書士を選ぶときに見ておきたいこと
建設業許可を扱う行政書士を探す際は、料金だけでなく、次のような点も確認してみてください。
- 建設業許可について、どの範囲を扱っているか
- 書類がそろっていない段階で、何から整理するかを説明してくれるか
- 事務所が行うことと、お客様にお願いすることが分かるか
- 費用が発生する内容と時期を確認できるか
- 期限がある場合の進め方を相談できるか
依頼先を決める前に、「自分は何が分からないのか」を言葉にしておくと、相談内容も伝えやすくなります。
まとめ|相談前に、完璧な準備は必要ありません
建設業許可について考え始めたとき、書類がそろっていないことで、相談そのものを後回しにしてしまうことがあります。
ただ、最初からすべてを集め、許可の可否まで決める必要はありません。
まずは、次の三つに分けてみてください。
- 手元にあるもの
- 見当たらないもの
- 何を確認すればよいか分からないもの
建設業許可の準備は、完璧な書類集めから始めるものではありません。
今の状況を整理し、次に何を確認するかを見えるようにすること。
そこから進めることで、不安を少しずつ判断に変えやすくなります。
建設業許可について、何から確認すればよいか分からない方は、まずは現在地を整理するところから始めてください。
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