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資格がなくても取れる|専任技術者の実務経験を書類で証明する手順【東京都】

「うちの技術者は国家資格を持っていない。だから建設業許可は無理だろう」

そう思って、あきらめかけていませんか。

実は、国家資格がなくても、その業種の実務経験を書類で証明できれば、東京都知事許可の専任技術者になれる場合があります。

ただ、ここでよくあるのが「10年分の書類を完璧に集めてから相談しよう」として、途中で力尽きてしまうケースです。

大事なのは、全部集めることではありません。まず手元の書類を仕分けること。この記事では、その順番を整理します。

まず「期間」を整理する(10年いらないこともある)

書類を120ヶ月分も集める前に、技術者本人の学歴や資格を確認してください。これだけで、必要な期間がぐっと短くなることがあります。

  • 指定学科を卒業している(申請する業種に対応した建築学・土木工学など)
    • 大学卒業+実務経験3年以上(36ヶ月)
    • 高校卒業+実務経験5年以上(60ヶ月)
  • 技士補(第一次検定)に合格している(指定建設業等を除く)
    • 1級1次(技士補)合格+実務経験3年以上
    • 2級1次(技士補)合格+実務経験5年以上
  • 上のどれにも当てはまらない場合 … 通常の10年(120ヶ月以上)の実務経験で証明

「10年か…」とため息をつく前に、まず卒業証明書と資格を見てみる。これが最初の一歩です。

「在籍(常勤)」を整理する(健康保険証は使えなくなりました)

工事の実績を並べる前に、大前提として「その期間、本当にその会社で常勤で働いていたか」を示す必要があります。

ここで最新ルールの注意です。

これまで常勤確認の定番だった「健康保険証の写し」は、令和7年12月2日以降の提出分から使えなくなりました。過去の期間を証明する場合でも、提出する日が基準になるため、保険証のコピーは使えません。

代わりに、次のような書類で在籍を示します。

  • 厚生年金被保険者記録照会回答票の写し(期間通年分)
  • 会社が持っている標準報酬決定通知書の写し など

「工事実績」を整理する(東京都は書類を大きく減らせる)

在籍期間が確認できたら、いよいよ請求書や注文書を年月順に並べます。ここに、東京都ならではの書類を大幅に減らせるルールが2つあります。

① 「期間確認表」で、書類が約3分の1に

原則は毎月1件、120ヶ月分の実績書類が必要です。けれど東京都では、『経営経験・実務経験期間確認表』を一緒に出すと、請求書などの発行間隔が3ヶ月(四半期)未満の期間は、その中間の請求書や通帳コピーを省略できます。

これで、120セット必要だった書類が、約40セット程度まで減らせます。

② 発注者の会社印がある注文書・請書なら、通帳を省略

請求書で証明する場合は、お金が動いたことを示す「預金通帳のコピー(入金履歴)」がセットで必要です。

ただし、発注者の代表者印(会社印)がはっきり押された注文書・請書が残っている場合は、通帳コピーの提出が原則不要になります。

※担当者印やサインだけの場合は、通帳コピーの省略はできません。また、注文書の工事内容が読み取れない場合は、追加資料を求められることがあります。手元に会社印つきの注文書・請書があるか、まず確認しておくと安心です。

複数の業種を取りたいとき

実務経験で複数の業種を取りたい場合、大原則として「1人の実務経験期間を重複してカウントすることはできません」(例:大工10年と内装10年を同時に取るには、1人で計20年が必要)。

ただし、東京都には関連する業種どうしの「振替え」の特例があります。

  • 大工工事 ⇔ 内装仕上工事(相互に振替え可能)
  • 建築一式工事 → 大工・屋根・内装・ガラス・防水・熱絶縁 への振替え

振替えの要件は、対象業種と振替元の実務経験を合わせて12年以上(うち、対象の業種自体の経験が8年を超えること=実務上は8年1ヶ月以上)。これを示せれば、期間を短縮して2業種をカバーできる場合があります。

まとめ:まず「ある・ない・わからない」に仕分ける

実務経験での専任技術者の登録で、いちばんやってはいけないのが「10年分を完璧に集めてから相談しよう」とすることです。

まずは手元の資料を、次の3つに分けてみてください。

  • ある書類:代表者印のある注文書、請求書+通帳コピーなど
  • ない書類:紛失してしまった期間の通帳など
  • よくわからない書類:指定学科に当たるか分からない卒業証明書、工事内容の記載が曖昧な注文書など

この仕分けができると、「手元の書類で何年分として整理できそうか」「抜けている期間は3ヶ月ルール(期間確認表)でセーフになるか」という、次に確認すべき一点(現在地)がはっきりと見えてきます。

※ここで挙げた年数・書類・ルールは、個人の状況や申請業種によって変わることがあります。実際の準備は、東京都の最新の手引きとあわせてご確認ください。

建設業許可で最初に確認したい全体像は、こちらでも整理しています。
👉 建設業許可の必要書類一覧【東京都版】

よくある質問

国家資格がなくても専任技術者になれますか?

なれる場合があります。資格がなくても、その業種の実務経験を客観的な書類で証明できれば、専任技術者として認められます。

必ず10年分の書類が必要ですか?

いいえ。指定学科の卒業や、技士補(第一次検定)の合格があると、必要な実務経験の年数が短くなる場合があります。まず学歴や資格を確認しましょう。

毎月120ヶ月分の書類を全部そろえないとダメですか?

東京都では『期間確認表』を一緒に出すと、発行間隔が3ヶ月未満の期間は中間の書類を省略でき、120セットが約40セット程度に減らせます。

前の会社での経験を、実務経験として使えますか?

使える場合があります。ただし、その期間を証明するには、前の会社の契約書・注文書・請求書などの工事書類と、その会社での在籍を示す書類が必要です。これらは前の勤務先の協力がないとそろわないことが多いため、早めに「どの書類を、誰に頼めば出せるか」を確認しておくと安心です。退職後に頼みづらくなる前に動くのがコツです。

どの業種でも、実務経験10年で専任技術者になれますか?

いいえ、注意が必要です。電気工事・解体工事・消防施設工事などは、無資格の実務経験だけでは専任技術者になれず、別の資格が求められる場合があります。「うちは10年やってきたから大丈夫」と思って進めると、その業種だけ認められない手戻りが起きやすいところです。取りたい業種が実務経験で証明できるか、最初に確認しておきましょう。

建設業許可を考え始めた今だからこそ、お金の流れも一度整理してみませんか

許可を取ると、これまでより大きな工事に関わる機会が増えることがあります。その一方で、材料費・外注費・人件費など先に出ていくお金も増えます。

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専任技術者の証明について個別に確認したい場合は

「手元にこれだけ書類があるけれど、何年分として整理できそうか」「抜けている期間は3ヶ月ルールでセーフになるか」——こうしたピンポイントな部分は、自己判断だと迷いやすいところです。

無理に申請を勧めることはありません。まずは「今の状況で証明できそうか」を一緒に整理するところから始めます。

まずは現在地を一緒に整理しましょう。

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永尾英文(ながお ひでふみ)
行政書士/経営基盤整理アドバイザー

経営者が現状を把握し、安心して意思決定できる状態を支援しています。資金・仕事・時間の不安を構造化し、次の一手が見える土台づくりをしています。

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